2025年1月の住宅ローンの金利推移・動向は、変動型は据え置き、10年固定は引き上げ、35年固定は据え置きとなっています。フラット35(買取型)は1.860%で前月から据え置きとなりました。変動型は基準金利が上がったとはいえ史上最低金利を維持しています。
住宅ローンの金利推移(変動金利、フラット35)
1990年代前半のバブル崩壊以降、住宅ローン金利はほぼ一貫して下落してきました。当時は変動金利が8.0%以上という時期もありますが、現在は0.5%を切る低金利になっています。
全期間固定金利の「フラット35(2003年以前は住宅金融公庫)」の金利もほぼ一貫して下落してきましたが、日銀による異次元金融緩和の終了に伴って、近年は上昇傾向にあります。とはいえ、長期的に見ればなお低金利といえます。
変動金利の動向:年末までに最大+0.25%を目指して上昇か
2024年7月の日銀金融政策決定会合で、ゼロ金利政策が解除され「金利のある時代」に突入することとなりました。
これを受けて、多くの銀行が預金金利を引き上げると同時に、メガバンクや地銀も短期プライムレートを引き上げ。ようやく、変動金利が0.2〜0.3%台から抜け出すかに思われましたが、2024年12月には、一部の銀行で揺り戻しがありました。
今後、行き過ぎた低金利を修正する銀行もあれば、修正を行わない銀行と、二極化していくと考えています。
金利の上昇幅についてですが、7月末の利上げを契機に株式市場が大暴落をしたことから、2024年内の利上げはないものという予想通りの結果となりました。
この7月末の利上げがあったといっても、わずか0.25%です。一般的に中央銀行の金融政策は、実質政策金利がマイナスであれば金融緩和、プラスであれ金融引き締めであると判断されます。
現時点の実質政策金利を正確に計算することは難しいのですが、概算すると△2.0%前後(名目金利0.25%-消費者物価指数2.5%前後)と大幅なマイナスであることから、いまだ緩和状態だといえるでしょう。
この利上げは、景気に大きな影響を与えることはないと考えられるのですが、心理的に利上げの影響を懸念する人が少なくないので、金利の引き上げには慎重な姿勢になることも予想されます。
2024年11月、トランプ新大統領が確定したことを受け、ドル円が円安に動きましたが、その後150円前後まで戻したことから、日銀は利上げに慎重になる可能性が高まったと考えています。
10年固定金利の動向:2025年は+0.4%程度の上昇か
10年固定金利については、10年国債金利をベースにしている銀行が多いと考えられます。
10年固定の住宅ローン金利は、今後も日銀の利上げ期待と欧米の利下げにより細かい上下動を繰り返すと予想しています。
2025年は+0.4%程度の上昇を予想します。その結果、一部の銀行では10年固定金利が2%台となる考えています。
35年全期間固定金利の動向:全期間固定金利が再び上昇する可能性が考えられる
これまで、超長期金利は2.0%付近で頭打ちになっていましたが、11月にはそれを突破したため、今後は上値を模索する展開になると、見方を変更します。
トランプ政権の誕生により米国金利が上昇する可能性がでてきたため、全期間固定金利が再び上昇する可能性が考えられるからです。
場合によっては金利が下がる局面があるかもしれませんが、国内景気は堅調である可能性もあり、下値は限られていると見ています。
市場金利と住宅ローンの関係は?
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利(7月の金融政策決定会合で0〜0.1%程度から0.25%程度に引き上げ)との連動性が高いと言われています。
どちらも日銀の政策次第で、将来的には上昇していく可能性があります。
2025年1月、トランプ新大統領の経済政策に注目
2024年3月に開かれた金融政策決定会合では、マイナス金利政策と長期金利をコントロールするYCC政策が、ともに撤廃されました。
7月の金融政策決定会合で日銀は利上げを決定。ゼロ金利解除に伴い、多くの銀行が住宅ローンの基準金利を引き上げました。12月の金融政策決定会合で注目されていた追加利上げは見送られ、政策金利は0.25%に据え置きとなっています。
注目しておきたいのは、1月20日に就任するトランプ新大統領の経済政策により10年国債金利が影響を受け、上昇する可能性があるということです。そうなると、住宅ローンの固定金利も上昇する可能性があります。
なお、2025年1月6日の10年国債金利は1.110%です。2024年5月に1.0%を超え、8月以降は0.8%台〜0.9%台を推移。11月からは再び1.0%を超えています。引き続き、今後の金利動向に注視する必要があります。
世界的な金利高の中で、日銀は今なお低金利政策を継続しています。そのため円安が進んでいるのが現状です。円安はインフレを加速する可能性があり、今後の金利動向は予断を許しません。
なお、市場金利が上昇することで、銀行の資産運用のスタンスが変更となる可能性があります。
これまでは国債金利が0%近辺であったため運用の魅力が乏しく、住宅ローンを積極的に獲得してきましたが、国債金利が上昇してくれば、「安全な国債で資産運用しよう」という銀行が増える可能性があり、結果として住宅ローンを無理に低金利で獲得する必要がなくなります。
こうした銀行の資産運用の面からも、住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
住宅ローンの金利タイプの選び方は?
住宅ローンを借りる際に悩むのが、どの「金利タイプ」を選ぶかということ。金利タイプは主に以下の4タイプがあります。
(1)変動金利型
返済期間中に金利が変動する可能性のあるタイプが「変動金利型」です。現在、ネット銀行であればキャンペーン金利も含めれば0.1%台の住宅ローンも存在しており、半数以上の人が変動金利を選択しています。
金利が最も低いのがメリットですが、一方で金利が上昇する可能性もあります。金利が上昇すれば毎月返済額も増えるので、家計が圧迫されます。
なお、多くの銀行は半年ごとに金利を見直しており、もし金利が上昇しても毎月支払額が上昇するのは5年に1回、最大でも1.25倍までといった激変緩和措置を用意しています。
(2)固定期間選択型
5年固定、10年固定などの商品で、「固定金利選択型」ともいいます。固定金利でスタートし、固定期間終了後は、固定金利選択型にするか、変動金利型にするかを選択します。
一般に、固定期間が長いほど金利は高くなります。固定期間終了後の金利は、その時点における金利が適用されます。
メリットは、それなりに低い金利が適用されることですが、一方で固定期間終了後は、金利が跳ね上がる可能性もあります。
(3)全期間固定金利型
返済期間中に金利が変動しないタイプの商品です。借入時に総返済額と毎月返済額が確定するので、返済計画や将来設計が立てやすく安心です。フラット35が代表的な商品で、民間の銀行でも多数の商品を揃えています。
メリットは金利上昇リスクがないことで、デメリットは変動金利などよりも金利が高いことです。なお、市場金利が下がった場合は借り換えることで金利を低くすることができます。
(4)金利ミックス型
「変動金利+35年固定」など、金利タイプの異なる住宅ローン契約を2本以上契約するものです。違ったタイプの住宅ローンを利用することで、基本的には金利上昇リスクを分散しますが、各タイプのメリットも半減します。
どの金利タイプを選ぶべきか?
どの金利タイプを選ぶべきかは、「金利リスクへの抵抗力」や「家族のライフスタイル」によって異なります。
まずは、完済まで金利の変わらない「全期間固定金利型」を検討してみましょう。生活設計が立てやすいほか、現在の金利水準は非常に低いのでおすすめです。
「金利が上昇しても返済に余裕がある」という人は、金利が低い変動金利を選ぶのもありです。
しかし、金利上昇リスクがあるので、「現在の金利が最後まで継続」した場合と「借入から6年目以降に基準金利が4%に上昇」した場合の2パターンを試算するなど、返済に困らないか確認しておきたいところです。
また、家族のライフスタイルから、将来の出費も検討しておきましょう。
子供がいれば教育費が高額になることがあります。老後に備えた貯蓄もしておきたいところです。
「当面は子供の教育費がかかるので、10年固定を選ぼう」「支払いにあまり余裕がないので、全期間固定にしよう」など、ライフスタイルに合った金利タイプを選ぶことが重要です。